セイヨウオトギリソウの効果と効能
生薬としての特徴
セイヨウオトギリソウの果実や、熟した全草を天日で乾燥すると、漢方の生薬「貫葉連翹(カンヨウレンギョウ)」になります。この生薬は抗菌、止血などの作用の他、火傷や口内炎などの外用としても用いられます。
有効成分
セイヨウオトギリソウに含まれる有効成分は、揮発油(カロフィレン)、ハイペリシン、プソイドハイペリシン、フラボノイドなどです。特徴的な赤い油はハイペリシンの生成物によるもので、神経性疾患やウィルス感染の治療に使用されます。抗うつ作用もこのハイペリシンによるものだといわれます。
期待される効果
セイヨウオトギリソウに期待される効果として、主に緊張や不安、不眠症などの神経性疾患、月経不順や更年期の不調の緩和などが認められています。特にハイペリシンの生成物の強力な抗ウイルス作用は、HIVやAIDSの治療への研究も行われています。
オトギリソウとの違い
セイヨウオトギリソウは民間薬として使われるオトギリソウ(H. erectum Thunb.)とは同族であり、西洋のオトギリソウという意味でセイヨウオトギリソウと呼ばれます。オトギリソウの生薬名は「小連翹(ショウレンギョウ)」で、全草を用い、止血や収斂(しゅうれん)作用が認められています。
セイヨウオトギリソウと飲みあわせ
日本での扱い方
ドイツをはじめとしてヨーロッパ諸国では、セイヨウオトギリソウは医薬品として承認されています。日本では平成10年のハーブ類の規制緩和にともない食品として扱われることになり、サプリメントとして購入できるようになりました。
サプリメント
セイヨウオトギリソウのサプリメントの多くは「セントジョンズワート」の名で販売されています。ヨーロッパなどでは抑うつ症状に対して処方されることがありますが、決定的な根拠はまだみつかっていません。薬との飲み合わせで、重い副作用が起こる可能性が指摘されているので禁忌事項を厳守してください。
禁忌
多くのサプリメントは妊娠中、授乳中の母親、子供を対象とした試験が行われていなことが多いので、使用に際しては注意が必要です。セイヨウオトギリソウ(セントジョンズワート)の安全性の情報はほとんど見つからないため、使用前に必ず医療機関や専門家に相談してください。

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